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今日は、ある釣師の名誉のためにアップしよう。
4回に渡る連続敗戦で最早産毛一つないツルッツルとなった彼(とその奥さん)が、この湖の虹鱒をとうとう釣った。 朝、9時半過ぎにボクの携帯にメールが入る。開けずとも天然部長であることは明らかである。 「しまった。でおくれた(泣)」。 どうやら朝一番から入れなかった悔しさを伝えたかったようである。4週続けざまに完封を喰らっていながらこの活性の高さ…このアホ部長が(釣れずとも)患い始めたのは、あのレインボーシンドロームだと確信する。 部長夫婦の様子を見に行きたくなって、ボクも昼前に出発。気温こそ8℃と決して高くはないが、段戸湖の水面はいつも通り穏やかな秋晴れの陽光を反射している。着替えて湖面に降りると、ちょうど歩いてきた部長夫婦と出会う。満面の笑みである。…聞かずとも答えは分かるが、聞いて差し上げなくてはなるまい。 「釣れた?」 「釣れたっ!」 3番ロッドが弓のように曲がり、夫の撓んだフライロッドを初めて見た奥さんは「折れる折れる」と大騒ぎをしたという。となると、次はその部長夫人にも釣ってもらわねばならない。竿を預かり、フライをMSCに交換、ティペットを結び直し、マーカーを底近辺を取れる位置に付け替える。ちょっとした本気モードである。…気温が下がり始めたここ数日、活性は下がっているはずである。 湖岸から一気に落ち込むカケ上がりポイントを中心にキャストすること5投目ほどで、早速マーカーがスッと沈む。が、部長夫人、突然の出来事に全く合わせられず。ま、最初はこんなもの。彼女の集中が一気に高まってくるのが分かる。…が、何故かこの一発からサカナの反応が遠のく。まだキャストレンジが狭いだけに、探れるポイントが限られているのが歯痒い。2時間ほど無為に時間が過ぎていく。 夫人がキャストする合間を縫って数匹釣り、少し活性上昇の感触を持ち始めた時、彼女のマーカーがまたフッと沈む。 「来たっ!」 今度は彼女の手が反応してくれる。勢い良く煽った竿が弓なりにしなる。待望のヒット。よっしゃ、と思わず声を上げる。「どうすればいい?」「手繰って、ライン手繰って!」。強引に寄せる。サイズは大きくない。ひとまず良かった……え……あ、そりゃライン手繰り過ぎ…あ、あ、ダメそれ、バレるバレる…。ロッドのテンションがスっと緩み、リーダーが力なく水面に落ちる。あ゛ーーー。 サカナを水面から持ち上げると、ヘッドシェイクのスピードが速くなってバレる確率が格段に上がる、ということを知ってもらう。このままではいけない。もう一回チャレンジである。 日が暮れ始めた16時過ぎ、憂鬱な空気が立ち込め始めたその時、沈黙を切り裂くようなラインの水切り音と共に、彼女のロッドが満月を描いた。やったっ! 彼女は自分一人で合わせていた。さっきより随分落ち着いたファイト。今度は慎重に湖岸に寄せている。ランディングネットを手渡すと、可愛らしいレインボートラウトが彼女の手に収まった。 いつの間にか日が暮れていた。でも今日は悔いなく納竿。気温は2℃まで下がっていた。風邪など引いてはいけない。それでなくてももう重度の症候群に罹ってしまったのだから。
by itotsuriguten
| 2006-12-02 23:50
| 本州
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