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前夜の泡盛を一合で断って無理矢理22時にベッドにもぐり込むと、AM3時にパッチリと目が覚める。金武港5時出船までまだ2時間。那覇からの移動に1時間見ても、時間は十分である。持ち物をゆっくり確認して、3時半にホテルを出発すると、沖縄自動車道はボクしか知らない抜け道であるかのように空いていた。
金武ICを降り、キャンプハンセンを左手に見る国道から港に向かって降りていくと、船長が出船の準備を始めている。「ウチナー」らしい、おっとりとした朴訥な感じの方である。挨拶もそこそこに、ここ数日の調子に話が移る。あまり良くない、いつもならこの時期が一番良いが、今年は黒潮がまだ回ってきてないのかも知れない、とおっしゃる。ま、やってみないと分からんですからねー、と言うこの船長の横顔は、しかしどこか余裕しゃくしゃくといった感じである。自信の表れとも思えるし、ウチナーならではのおおらかさとも思える。 ま、ここまで来た以上、この人の舵取りにすべてを託すしかないのである。 逆風を受けながら波高1.5mの太平洋を南東に進むこと1時間45分、最初の県営表層パヤオ「ニライ5号」(上写真)が見えてくる。が、船長の顔が浮かない。魚探の画面を覗き込むと、水深60m程度のところにわずかに影が映っている。少しいますけど小さそうですね、ここは後回しにしましょか。近くにもう一つ表層パヤオがありますから、そっちからやりましょかねー。 ニライ5号からさらに15分程のところに、小型のパヤオが現れる。先程と同様、サカナは水深50m程のところに付いているようである。ここでやってみましょかー。沖縄独特の温和なイントネーションだが、迷いは無いようである。パラパラとチャミングされた冷凍キビナゴの中に、450grのシンクティップ、30ポンドのショックリーダーに結んだ#3/0のマイラーキビナゴを落とす。 …さあサカナよ、浮いて来い。 数秒間隔で水面に叩き付けるようにチャミングを続けること約3分。それまでキラキラと水中を漂ってゆっくりと海中に沈んでいったキビナゴが、1〜2メートル程度の水深で突然黄色い閃光とともにフッと消える。ほら浮いてきた、と船長が呟く。チャミングと同時にフライを叩き込む。シュンシュンと黄色い影が走り、キビナゴが次々と消える。が、フライには反応しない。 …見切ってますねー。船長がニヤリと笑う。 え゛、見切られてるんですか? ハリがちょっと大きいかもねー、小さいのないですかー? 半信半疑のまま、フライを#1/0ガミーミノーキビナゴパターンに変更する。これなら行けると思いますよー、船長の物言いは相変わらずおっとりしている。先程と同様チャミングと同時に叩き込む。銀色の光がゆらりゆらりと沈んでいく。閃光とともに本物のキビナゴ達が一つまた一つと消える。…来いっ。 海中をキラリキラリと揺らめくガミーミノーが、黒い海中にフッと消える。来たか…? 一息おいて、フライラインがシューンという音ともに恐ろしい勢いで海中に吸い込まれ始める。乗ったっ! ウィーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!! モーター音のようなビリーペイト・マーリンの反転音とともに、PEのバッキングラインが止まることなく出されて行く。真下に突っ込んでいくこの動きは紛れも無くツナである。ドラグを締めにかかると、12番ロッドが逆U字に曲がる。スピード、パワーともにこれまで釣った魚類とは全く異次元の引きである。船長が満足そうに微笑む。3分ほど綱引きの後上がってきたのは、2kg程度の小振りなキハダマグロ(シビ)だった。 あはははは。川魚の釣り味とは勿論、ジギングの釣り味とも全く違う世界に、ボクは込み上げてくる笑いが止まらなかった。 …まだ行けますよ。船長が続けざまにチャムを打ち、ボクは外したばかりのフライを叩き込む。ゆらりゆらりと漂うミノーに、黄色い光が襲い掛かる。シューン、ウィーーーーーン!!!!! あははは。 同じようなサイズが立て続けに5本ほど掛かったところで、船長が首を傾げる。なかなかサイズが上がりませんね、中層パヤオに行ってみましょかー。ええ、行きましょう。そっちが今日の本命ですからねー。あ、これから本命ですか…。 中層パヤオとは水中に浮いているパヤオで、海面上には何もそれらしい目印はないから、魚探のみに頼っての操船となる。船長によれば、ここのところ中層パヤオの方がサイズも数も出ているらしい。チャミングでサカナを水面に浮かせ、その中にフライを紛れ込ませるという釣り方は先程と同様である。#3/0フックから試すが、やはり出ないのもまた同様。 やっぱり出ませんね。マグロは目がいいですからねー。#1/0に変えても8割方のサカナは見切っているようだが、何投かするうちに思慮の足りないヤツが掛かってくる。フックに本物のキビナゴを刺して投げ込むとすぐに当たり、リーダーを20ポンドに変えても当たりに変化がないから、やはり問題はフライなのである。 船長の予測どおり、この中層パヤオでサイズが一回りアップし、また一段違う世界が訪れる。 ヒットするや否や、ラインを出すのが億劫になるぐらい締めこんだドラグをよそに、激烈なスピードでラインを一気に100m以上引き出していく。ダイレクトドライブのリールハンドルに手が当たれば即打撲、PEに触れれば即火傷である。止まった後も、巻いては出され巻いては出されの延々繰り返し(ちなみに今回バッキングラインにはPE8号を500m巻き込んで臨んでいた)。この釣りは、戦い以外の何物でもないのである。 3kgクラスのキハダを3匹追加してしばらくすると一気にフライにスレてしまい、何を放り込んでも反応が無くなる。最初に飛ばした表層パヤオに戻りましょかー。そうですね。漁協のパヤオではシイラしかおらんそうですから、やめときましょかー。ま、今日は一日マグロを研究します。ははは、分かりましたー。 表層パヤオに戻ってくる。昼が近づくと徐々に反応が悪くなっているようである。朝が一番いいです、と船長も言う。フライへのシビアさもさらに増し、むしろアクションを付けたほうが釣れるようになってくる。さらに中層パヤオへもう一往復し、2皿目のキビナゴを投じ終え、12匹目で初めてツムブリが掛かると時計は13時を回っていた。心地よい充実感とともに、決して低くない波に揺られて6時間以上釣り続けた疲れが出てきた。数もサイズもどうということない結果だが、船長と相談しながらとにかく色々と試せたことが何より有意義だった。 15時半、帰港。 まあまあでしたねー。ま、良かったです、それなりには釣れましたし、次回への勉強になりましたから。釣れん時は全く釣れんですからねー。キビナゴフライはまだまだ研究の余地ありですね。次来るときはマジック持ってきて、色々塗って試してみてくださいねー。 (次回に続く)
by itotsuriguten
| 2007-04-27 23:50
| 沖縄
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