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ヨメさんの姉と甥っ子2人(リョーゴ6才、ソータ3才)が千葉県からヨメさんの実家に帰省して来た。
聞けば、こちらで釣りに行きたい、と言う。去年、釣り堀に行ったのが楽しかったらしい。ボクはギプス開始以来、基本的に松葉杖が手放せないが、釣り堀で釣りをするくらい全く問題ない。大勢でやる釣り堀の釣りは楽しい。子供が入れば尚一層である。という訳で、足を心配するヨメさんをよそに即参加表明。 今朝10時、ボクとヨメさんとその両親、義姉と甥っ子2人の計7人でヨメさんの実家を出発。リョーゴとソータはすでに大はしゃぎだ。天竜水系の阿知川支流本谷川から水を引いたその釣り場は、2つの小さな池からなり、片方はレインボーのみ、もう片方はアマゴとイワナのみである。タックルは、竹竿に極太のハリス、バーブレスフックに餌は練り餌。様子を伺うと、レインボーの池の方は、餌を落とした瞬間に数十匹のレインボーが我先にハリを引ったくり合うという、釣りとはややかけ離れた世界が展開されていることが分かった。逆にアマゴの池の方は、大人と子供合わせて5人ほどが攻めているが、釣れている雰囲気はない。 リョーゴとソータとボクは、それぞれに竿を持ち、リョーゴとボクはアマゴの池、ソータは義姉とレインボーの池を攻略することにした。リョーゴとボクは、まず試しに池を回遊するアマゴの群れのど真ん中にダンゴを落としてみた。ペレットで育った養殖魚は、落ちてくる物に何かしら反応するはずである。が、案の定ちらりと目をやるのみで素通りしていく。浮かせる、沈める、アクションを付ける等々、一通りやってみるが、ダメである。道具に手の施しようがないことも含めて、なるほど、思ったより手強い。 そうこうしていると、竿の重さで小刻みに震えるリョーゴの餌に通りかかったアマゴが反射的にバイト。釣れてる釣れてる!、というヨメさんの声にリョーゴが咄嗟に反応し、震える手でアマゴを引き抜きにかかる。が、…あ、まずい、バレる、と思ったときには時すでに遅し。抜ききれずに再び着水したアマゴは、返しのないハリからやすやすともとの群れに戻っていった。呆然とするリョーゴに、もう一度餌を付け直し、釣れたらサカナを高く持ち上げずに寄せて来るように教える。リョーゴはこくっと頷く。俄然目が真剣になっている。 今度はレインボーの池で歓声が上がる。ソータに掛かったようだ。ボクもちょっとマジになってくる。程なく、ナチュラルドリフトがカギであることが分かってきた。池の排水口付近に群れていたイワナの鼻先に、ダンゴをナチュラルに送り込んでやると、続けざまに2匹掛かってきた。多分、ペレットの沈下と似ていたのだろう。すると、こちらの池で苦戦していた周りの子供達が一斉に排水口近辺を狙い始める。が、まだナチュラルドリフトに気付いていない彼らは、ポチャンポチャンと繰り返しては、イワナを脅かすのみだ。 ボクはリョーゴを呼び寄せ、排水口の1m程手前からナチュラルに沈下させるように指導する。案の定、かなりの確率で食ってくる。が、ここからが厳しい。リョーゴ、来たっ!、とボクが言ってもリョーゴの手は反応しない。どうやら水中の餌が目で追いきれないようだ。何度か合わせ損なうと、さすがに意気消沈してくる。あっちに行く、と言ってレインボーの池を指差す。よし、あっちで練習しておいで。その後、もうここで一回やろう。 レインボーの池に着くなり、瞬く間にレインボーが2匹釣れ、その度に大歓声が上がる。…そうだよな、釣りは釣れなきゃ面白くないもんな。 あっという間に時間が過ぎた。釣ったイワナとレインボーを塩焼きにして食べた後、リョーゴを連れてすぐ脇の本谷川の河原に降りてみた。小さな淵の底にちらりとサカナの影が見えた。 ─リョーゴ、そこにサカナがいるよ。 ─ウッソだーい。 ─ホントだ、見えるよ。 ─どこどこ? …見えねーよ。 ─よく見てみろ、あそこだ。 リョーゴはしばらく必死に目を凝らしていた。 その真剣な姿を見ながら、大人になれば「サカナが見える」可能性はずっと低くなってしまうだろうな、と思う。 当たり前だが、幼年時代のすべての瞬間がその後の数十年の人生の原点であり、もし今日を原点にいつか人生に釣りが加われば、やがて彼は「サカナが見える」大人になる。そして「サカナが見える」ようになったとき、間違いなく彼にはその他沢山のものが見えるようになっているはずである。 もうすぐフライフィッシングを教えてあげたい、と思う。
by itotsuriguten
| 2005-08-06 23:50
| 本州
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